西岡直樹・由利子夫妻は学生時代も含め、かれこれ30年インドの地と深くかかわり、その文化と風土をその身で体感しながら西ベンガル州ビルブムの地で、現地の人々と共に素敵な布を作っています。 「インド花綴り」や「べンガルの樹の下で」など、直樹氏の著書には漂密なインドの空気や豊かな生命の息吹きが充ちていて、インドを第二の故郷のように愛する人ならではの文章に思わず魅き入れられます。そのお二人が30年集め続けたサンタル・ポト、先住民ゆえにその価値を正しく評価されていないその素晴らしい文化を自分たちの手で、少しでも保存し、いつかインドの地に返そうと思っている…と聞きました。
その貢重なコレクションと共に、今回の企画のために、初めて絵師たちに腕をふるってもらった絵も一緒に展示いたします。 またインドの代表的な手仕事、カンタ刺繍でポトの楽しい世界を再現したショール、黄金の繭、蓮糸などで作った羽衣のように美しい布も展示いたします。 インドのプリミティブな魅力あふれる展覧会です。(繭)

サンタル・ポトゥア
サンタル・ポトゥア(絵師)に出会ったのはかれこれ30年前。 彼らは町外れの木の下に野宿をしていました。 粗末な布袋から取り出された巻き物を見て、私たちは患をのみました。 土や草の汁、すすなどで描かれた素朴で不思議な獣や鳥、人、草木たち。 
そこには太古からの命が脈打っているように思えたのです。
この不思議な絵師たちは、自らはベンガル人なのですが、インド東部に住む部族民サンタル人の言葉をよく話し、彼らの家々を回ってそうした生きものたちや神々の登場する神話や祭り、狩りの話などを絵巻物に描いて語り歩くのを代々の仕事としているのです。         (西岡直樹)